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2004年10月 8日 (金)

野球で子供に出来ることを、まず大人がやらなきゃ

子供の頃の記憶と言うのは、ただただ純粋であるからか、深く、鮮明に刻み込まれるものだ。

まだ会社の事務所が存在していた時期、野球好きな面々と飲んでいるときに、「あなたの中の巨人のキャッチャーは誰?」と言う質問をしてみた。
ある人は「有田」、ある人は「大久保」と答えた。ちなみに、僕の中の巨人軍のキャッチャーと言えば、「山倉」以外にいない。いずれも子供の頃にテレビ、球場で見かけた選手の姿が、深く心に刻みこまれているからであろう。

同様に、僕の中の1番バッターと言えば「青い稲妻・松本」であり、4番バッターと言えば「若大将・原辰則」以外にない。

原辰則。80年代~90年代のプロ野球シーンにおいて、この人のことを知らない人はいまい。巨人軍史上、4本の指に入る、4番バッターとしての在籍試合の多さ。そしてそのチャンスにおける凡退の多さは、当時子供だった僕の記憶に、鮮明に刻み込まれている。

こんなことがあった。

あれは僕が子供の頃に行った、宮城球場での巨人戦。初回からチャンスの回って来た原選手は、内野ゴロで凡退した。次の打席、やはりチャンスで打順の回って来た原選手は、やはり内野ゴロで凡退した。原選手がチャンスに弱いのは、当時の子供なら分かっている。だが、子供時代の僕が怒ったのはそんなことではない。

原選手は、内野ゴロを打った後、2回とも1塁までタラタラ走ったのだ。
僕には、それが許せなかった。僕はクラブなどで野球を習ってはいないが、小学生の頃、まだ空き地の多かった時代に、放課後クラスメイト達とよく野球をしていた。そのとき散々言われたのが、
「内野ゴロでも、全力で走れ」
だった。

内野ゴロでも、全力で走ればセーフになるかもしれない。相手が焦ってエラーするかもしれない。だから全力で走れと、少年野球を習っていたクラスメイト達によく言われたものだった。だから、子供でも出来るようなことを大人の、しかも球界の代表チームである巨人の4番打者が行わないことを、凄く腹立たしく思った。

その後、その試合の第3打席。やはりチャンスで打順の回ってきた原選手は、やっぱり内野ゴロだった。
でも、その打席は1塁まで全力で走ってくれた。「そう、それでいいんだ。アウトになっても、それならいいんだ」 変に納得したのを今でも覚えている。その試合が勝ったか、負けたかはさっぱり覚えていない。ただ、その原選手のプレイだけは記憶に刻まれている。


イチロー選手が、メジャーリーグのヒット年間本数新記録を目指している時期、アメリカのマスコミの人間でイチロー選手を批判していたマスコミがいたのだそうだ。曰く、
「内野ゴロばかり量産している選手」
と言うことなんだそうだ。

確かにヒットと言えば「クリーンヒット」と言う単語があるように、三遊間を綺麗に破るヒットや、一塁線を痛烈に破るヒットなどは見ごたえがある。

でもね。

内野ゴロで、たかが内野ゴロでだ。「アウトになるか、セーフになるか」と言う、ドキドキ感を味あわせてくれるのだから、これこそプロのプレイと呼べるのではなかろうか。

今の子供達は、プロ野球界のイヤな側面を見せられているかもしれない。でも、プロ野球のストと言う悪い側の歴史的イベントが行われた年に、イチロー選手の歴史的偉業が見られたのだから、野球好きな子供達は素敵な思いが出来たのではないだろうかと思う。


宮城県にプロ野球新球団が本当にできるのならば、たとえ弱くてもいい。数年後に優勝とか、そんなの全然狙えなくても構わない。ただ、そのような「プロ」のプレイを見せてさえくれれば、それだけでいい。僕はそう思う。

あ、蛇足ながら、僕は凡退続けて続けつづけた原選手は、好きな選手でした。

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