7/9センダイガールズプロレス旗揚げ観戦記~part.3~
part.2からの続き。
【第2試合】
金子 友里恵(かねこ ゆりえ) vs 吉田 万里子
実は個人的にこの日、最も注目していた試合。
吉田選手は1年ほど前から、若手選手を中心とした自主興行「息吹」を開催しており、各方面から試合内容、大会内容について高い評価を受けている選手。
つまり若手選手と普段から接している分、若手選手に対するイヤらしい攻め方、いわゆる
「可愛がり方」
を、イヤと言うほど心得ている選手。
加えてグラウンド、いわゆる寝技、関節技の類にめっぽう秀でた人です。
若い選手を試すには、このグラウンドの攻防をするのが、一番分かりやすいと言われています。
なぜか?
たとえば、このblogを読んでいるあなたの横に「抱き枕」があったとします。あるんです。
その抱き枕に、「チョップ」をぶち込んでください。
出来ましたか?
威力の強弱、グーとパーの違いなど、多少の差こそあれ「打撃」を打ち込むことは出来るはずです。殴ると言うのは、もっとも原始的な行為ですし。
では、今度は抱き枕に「スリーパーホールド」を決めてください。
出来ましたか?
これは、決められない人が多いと思います。
仮に決まった人は、「スリーパー」と「チョークスリーパー」の区別は付きますか?
そうです。寝技での攻防と言うのは、
「知らないと絶対に出来ない」
ものなんです。
若手の可愛がり + グラウンドでの攻防 = 仙女若手の実力テスト
と言う公式が成り立つ。多分。
だから僕はこの一戦を、若手4選手の中で最重要試合にチェックしていたのです。
さて試合。
予想通り、吉田のグラウンドでの関節技に、悲鳴を上げる金子。
とても「技の攻防」なんて言える様なレベルにはありません。
袈裟固め、腕ひしぎ逆十字固め、IV(石沢ヴィクトリー)ニーロックっぽい技など、技の練習台のように面白いように関節を極められまくる金子。
しかし、何とかその度にロープに張って行き、ロープブレークで逃れます。
これが総合格闘技ルールならば秒殺ものでしょうが、ロープブレークで仕切り直しが取られる、プロレスならではのルールのおかげで命拾いです。
いや、逃げれば逃げるほど極められる回数も、時間も延びていくので、ある意味、下手に「逃げ道のある」プロレスルールのほうが、金子には辛いかもしれません。
ところで試合序盤から、気になるムーブを金子はしていました。それは、
「胴タックル → テイクダウン」
と言う動きです。
ロープブレークで逃げたあと、打撃で攻めることも出来たでしょうし、ロックアップ、手四つで力比べを挑むことも出来たでしょう。
しかし金子はこの「胴タックル → テイクダウン」で、あえて関節、寝技の得意な吉田に、グラウンドで勝負を挑んでいきました。
その姿勢、潔し!
そして試合終盤、遂に金子は吉田の足を捕らえることに成功。
一気にアキレス腱固めに持ち込みます。
しかし、これは吉田の巧みな誘いだったのか。
必死にアキレス腱を極める金子に対して、吉田は「極まってないよ」と言うような涼しい顔。
これに似たシーンを、昔見たことがあります。
あれは20年前、UWF(第1次)が崩壊し、新日本プロレスと対抗戦を行っていたときのこと。
アントニオ猪木vs藤原喜明の試合の中で、藤原組長が猪木にアキレス腱固めを極めた際、猪木が藤原組長に向かって、
「極める角度が違ってるぜ」
と、ニヤリと笑いながら指差した、あのときのことを。
吉田がそんなことを考えていたとは思えませんが、涼しい顔で金子の足を取り返し、カウンターのアキレス腱固めへ。金子絶叫! 何とかロープに逃れます。
しかしこのあと、裏アキレス腱固め→裏足4の字固めと極められ、6分9秒、金子がギブアップ負けとなりました。
吉田は決着直後こそ、正面の「仙女サポーター」に見せ付けるようなアピールをしていましたが、金子が起き上がるやノーサイドの握手。
自分の見ていないところでも、立派に女子レスラーが育っていることを実感できたと思います。
もっと仙女の新人が経験を積んだら、「息吹」の興行にも積極的に名乗りを上げて欲しいです。
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コメント
昨日のベガの凄惨な負けを忘れるような熱いブログだ。
投稿: 暁AK | 2006年7月14日 (金) 01:15
暁さん
> 昨日のベガの凄惨な負けを忘れるような熱いブログだ。
えぇ、忘れてましたが何か?
あれは凄惨と言うか、悲惨でしたがorz
投稿: きめん | 2006年7月15日 (土) 02:17