前回 3-1話
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「最近の活躍は聞いているよ。あの”無限の毒”や”紅ノ牙”が目をかけてるみたいだしね。ちょっとだけ一緒にやってみないか? 素材は保障するよ」
”猟犬部隊(ガンドッグ)”と呼ばれるハンターとの、全く異なる狩りが始まろうとしていた。
OP
http://video.mixi.jp/view_video.pl?flash_id=132013-11363267
砂原での慣れない戦い。
そして”猟犬部隊(ガンドッグ)”の一員としての戦いは、ヲズマスがこれまで経験してきた狩りとはまったく異なるものであった。
初めて相対するモンスターのハプルボッカ。
砂中を潜行して移動し、砂上のハンターに突如襲い掛かる危険なモンスターである。
このハプルボッカに対し、猟犬部隊の取った作戦。それは、
「戦わない」
ことであった。
他のハンターが吊り上げ、切りつけ、罠を仕掛け、苦労しながらモンスターにダメージを与えるのを、ただひたすらに眺めているだけ。
さすがにこの状況にヲズマスは不安になり、キメハラに声をかける。
「て、手伝わなくていいんですか?」
「あぁ、大丈夫だよ。まあ見てなって」
しばらく後、ハプルボッカは苦しげにハンターたちに背を向けて逃げていく。どうやら、寝床に帰って体力を回復するつもりのようだ。
「よし、いくよ」
キメハラはヲズマスに声をかけ、砂原から移動を開始すると、薄暗い岩場で寝ているハプルボッカを発見した。
「これならすぐに捕獲できますね。待っててください、今罠を…」
「罠はいらないよ、ヲズマスくん」
「えっ?」
すでに眠りについているモンスター。そこにシビレ罠を仕掛け、麻酔玉を投げつければ捕獲完了となるはず。なのに、なぜ罠がいらないのか?
疑問に思うヲズマスに、キメハラは声をかけた。
「寝ているモンスターには目覚ましが必要だ。それも少々大きめのね」
そういうとキメハラは、手持ちの武器を変形させ、構えた。
ガンランス。
ハンターが使用する武器の中でも、かなり特殊な位置に分類される武器である。
元々、ハンターの使う武器は、大きく分類して2つに分けられる。
モンスターに近づいて直接攻撃をする「近接武器」と、比較的離れた場所から攻撃を加える「遠距離武器」の2つだ。
そして、その近接武器の中でも、更に攻撃方法によって「斬撃」と「打撃」に分けられる。またその中でも、盾などを使用し、相手の攻撃を「防御」可能な近接武器も存在する。
その中で、防御性能が最も高いとされるのが、攻防一体の「ランス」だが、そのランスに砲撃の機能を加え、機動力よりも攻撃力に特化したタイプがこの「ガンランス」であった。
ヲズマスは、この武器を実際に目にするのは初めてであった。
「これがガンランスですか。初めて見ました」
「そうかい? でも最初に言ったよね。僕らは猟犬部隊(ガンドッグ)だって」
「ガンドッグの”ガン”って、ガンランスの”ガン”なんですか!?」
「しっ! ハプルが起きる」
言われ、慌ててヲズマスは口をふさいだ。
モンスターは寝ていても周囲の気配には敏感だ。ハンターが何も考えずに近づけば、その物音で起きてしまうこともある。
幸い、今回は気づかれることはなく、ハプルボッカは眠り続けている。
2人は胸をなでおろした。
「危ないところだった。じゃあ待ってて。今仕留めるから」
そういうとキメハラはガンランスの照準を合わせ、エネルギーをチャージさせる。
数秒後、ものすごい爆発音と共に、眠っているハプルボッカに砲撃が打ち込まれた。
竜撃砲。
それはガンランス最大の奥義にして最強の攻撃力を誇る技である。
そもそもガンランスは、武器内部に弾薬を装てんし、それを複数回発射できる機構にしたものである。
しかし、この竜撃砲は発射にいたるコンセプトが異なる。
弾薬を込めるのではなく、飛竜のブレスを基に作られた機構を内部に組み込み、瞬間的に「擬似ブレス」を人工的に発生させる構造であった。
その威力たるや絶大。
眠っていたハプルボッカは、砲撃に気づく間もなく絶命していた。
ハント完了である。
「これがガンランスの威力なんですね。とてつもない破壊力…」
「さぁ、グズグズしてはいられないよ。早く素材を剥ぎ取らないとギルドの迎えが来てしまう。それに”連中”もそろそろ来るはずだしね」
「連中?」
そう聞き返すや否や、遠くから足音が聞こえてきた。
どうやら、先ほどまで砂原でハプルボッカを追っていたハンターたちが、この寝床までやってきたようである。
その中のハンターの1人が言う。
「またお前たちか、ガンドッグ! そこのハプルボッカは我々が追い詰めたものだ。おとなしく引き渡してもらおうか?」
「引き渡す? バカなことを。こいつはたった今俺が仕留めたものだ。それを渡す道理なんてどこにあります?」
「本来ハンターは協力しあい、素材も分け合うものだ。今のお前たちはただ、最後のおいしいところだけを持っていき、素材を独り占めにしている。もはや、見過ごすわけには行かない」
そういうとハンターたちは一斉に襲い掛かってきた。
いや、襲い掛かってくるのとは違う。全員が一斉にハプルボッカに向かい、素材を剥ぎ取ろうとしている。
「そうはいかない」
キメハラが指笛を鳴らすと、どこにいたのか子飼いの猟犬部隊たちが姿を現す。その部隊はハプルボッカの前に列を成すと、向かってくるハンターたちに砲撃を加えた。
「ドオオォォンッ!!」
ガンランスの砲撃を受け、炎上しながら吹き飛ばされるハンターたち。こうなってしまっては、もはや素材を剥ぎ取るのは難しい。
「さ、ヲズマスくん。僕たちはゆっくりと素材を剥ぎ取ろうか?」
「え、いいんですか?」
「もちろん。キミを誘ったのは僕だし、仮とはいえ今は仲間だ。周囲のことは気にせず剥ぎ取るといい」
「は、はぁ」
そう促され、素材の剥ぎ取りを開始するヲズマス。
しかしその視線の先には素材ではなく、何度吹き飛ばされても諦めず、素材確保に挑むハンターたちの姿が映っていた。
~続く~
第3-3話
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