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2013年2月27日 (水)

ベガルタ/【ACL予選1節】コングラチュレーション、ベガルタ

マンガ「バキ」の死刑囚編の中で、恋人を死刑囚・シコルスキーに奪われたバキさんが、猛烈なラッシュの末、高層ビルから窓ガラスを突き破り、シコルスキーを叩き落す。

ゆっくりと落下していくシコルスキー。

それを脇で見ていた、ビスケット・オリバは拍手をしながらこう言う。

 「コングラチュレーション、バキ。童貞を捨てたな」

ようは、
 「殺っちゃったZE!」
ってことなんですが、漢の世界にはそういう表現もあるのだなと。

まあ、シコルさんは落ちずにもっかいビルをよじ登って来ましたけど。

自分がかつて経験のない試合の前というのは、たとえ見てるだけとはいえ興奮するものだ。

初の昇格をかけたHOME最終戦
J1残留をかけた真っ向勝負
あと1点決まれば昇格の決まる入れ替え戦
勝てばJ2優勝の決まる最終節
初の天皇杯ベスト4
J1優勝をかけて負けられない残り2戦

どれもこれも、思い出すだけで試合前のワクワク感を忘れられない。

初のアジアとのガチンコなリーグ戦、AFCチャンピオンズリーグ戦がJリーグに先駆けて開幕した。
過去に経験のない試合というのは、やはり興奮するものだ。

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普段と違うよそ行き仕様。
場内の注意事項や選手紹介も英語。
「スポンサーは1社のみ」という厳格なルールのため、看板を隠させられるスタジアム。
それどころか、売店まで商品名を出せない徹底ぶり。
こばやしのお弁当から小林亜星が消えたら、ただのお弁当じゃないか

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そんな何もかもが新鮮な試合。

ベガルタとして、ACL初の試合、初の得点、初の勝ち点。
そのどれもがチームの歴史で、関係者も選手もサポも誰1人経験したことがないのだから、この日試合を見た人たちは
 「歴史の証言者」
といっても過言ではないだろう。

 「コングラチュレーション、ベガルタ。童貞を捨てたな」

そんなことを思いながら見ていた試合は、先制したもののよじ登ってきたブリーラムに得点を決められ、引き分けで終わったという。

繰り返しとなるが、たとえ引き分けでも記念すべき試合に立ち会えたのだから誇りに思うべし。
そしてなにより。
氷点下にも近い気温の中、寒さに耐えて観戦した人たち全員が勝利者。

とりあえず、裸族はよそうや。

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2013年2月24日 (日)

ベガルタ/諸君、私はベガルタ仙台が好きだ2013ver.

諸君 私はベガルタ仙台が好きだ
諸君 私はベガルタ仙台が好きだ
諸君 私はベガルタ仙台が大好きだ

リーグ戦が好きだ ナビスコカップが好きだ ACLが好きだ 天皇杯が好きだ 残留争いが好きだ 昇格争いが好きだ リーグ戦後の練習試合も好きだ

サポーターが好きだ 川崎との交流が好きだ セレッソとのライバル対決が好きだ 磐田との入れ替え戦以来続く意識し合う関係が好きだ ネタが好きだ 都市伝説が好きだ フロントが好きだ いづみちゃんが好きだ ともおが好きだ ベガッ太さんも大好きだ 監督のダジャレはそれなりだ

ユアスタが好きだ ACLの試合だけ「仙台スタジアム」と名称が戻るのも好きだ 八乙女駅からいずみ中央駅に着く間にゆっくりとスタジアムが近づいてくるのを眺めるのが好きだ コンコースの散策が好きだ スタ飯は至高だ ビールは燃料だ 歌声はエンジンだ

勝利は絶対だ 引き分けは次善だ だが 敗北もまた愛おしい

この日本中あらゆるところで繰り広げられる ベガルタ仙台の試合行為が好きだ

開幕前の中位から下位の予想を覆して 開幕からの連勝 無敗で快進撃を続けるのが好きだ
うっかりシーズン序盤で首位に立ってしまい 地元マスコミが「首位だ」と浮かれた時など心が躍る
その首位のままシーズン終盤まで突き進み いよいよ優勝が現実味を帯びてくるのが好きだ
敗北し優勝の可能性がなくなり 静まり返るスタジアムの雰囲気が好きだ

梁勇基の精度の高い直接FKが好きだ
太田吉彰のサイドを縦に切り裂くドリブルが好きだ
赤嶺真吾が相手DFの前に飛び出し 高速クロスに頭を合わせるのが好きだ
ウイルソンがGKとの1vs1を冷静にゴール隅に流し込んだときなど 胸がすくような気持ちだ

富田晋伍の執拗なチェックからボールを奪う姿が好きだ
菅井直樹の「やっぱりそこにいるんだ」と言うオーバーラップが好きだ
林卓人が危険なシュートをセーブし 激高する姿が好きだ

キャンプも始まったのに 何の事前情報もないまま突然入団発表をするブラジル人選手が好きだ
「今度こそ絶対に勝つ」と誰もが口にし気合を入れ それでも敗北を喫する清水戦は最高だ
タイの選手が来日直後に大雪で練習が中止となり 「AWAYの洗礼」が地元宮城で行われていると思うと身の引き締まる思いだ

諸君 私はベガルタを 最高に面白いベガルタ仙台の試合を望んでいる
諸君 私と共に戦うベガルタのサポーター諸君 君達は一体何を望んでいる?

更なるスポンサー収入の増大 そして選手の年俸高騰を望むか?
初のACL出場で浮かれるばかりか 予選突破し遠く中東への弾丸アウェイツアーを望むか?
選手へのコールや野次 旧コアとBACKSの諍いを尻目に トラメガのサイレンに目くじらを立てつつ ゲーフラや横断幕やコレオグラフィの限りを尽くし 三千世界の相手クラブを薙ぎ倒す 嵐のような試合を望むか?

ベ~ガルタ~ 仙台っ ドンドン ドドドン
ベ~ガルタ~ 仙台っ ドンドン ドドドン

よろしい ならば開幕だ

我々は寒空の下 2月下旬の氷点下で凍える毎日の中 ゼロックスカップを羨望の眼差しで眺めつつ ACL そしてJリーグの開幕の日を指折り数え 今や遅しと狂乱の渦へと飛び込もうとする一サポーターだ
だが2ヶ月以上もの間 鹿児島~延岡~宮崎と 選手の様子も分からないまま待ち続けた我々には ただの試合ではもはや足りない!

壮絶な試合を!!
一心不乱の題試合を!!

我々はたかだか一地方都市の住人 万人に足らぬ砂粒の群れに過ぎない
だが諸君は 誰よりも熱いベガルタ愛を持った 熱烈なサポーターだと私は信仰している
ならば我々はスタジアムを揺るがす 大声援を選手に送る大集団となろう

我々を忘却の彼方へと追いやった キャンプの特集も組まないマスコミ連中を叩き起こそう
試合を観もせずに 結果だけで「ベガルタ大丈夫?」と尋ねてくる親兄弟や会社の同僚を叩きのめそう

連中に本当のスポーツの楽しみ方を思い出させてやる
連中に我々の思いを込めた声援の力を思い知らせてやる

天と地との狭間には たったひとつの試合で次節まで幸せに笑顔で過ごせる娯楽がある事を思い知らせてやる
ユアスタ 仙スタに集結する1万9千人のサポーター戦闘団で 日本中を燃やし尽くしてやる

ベガルタ仙台を愛する全ての人たちへ

目標 ACL開幕戦 試合会場 仙台スタジアム
並びに
目標 J1リーグ開幕戦 試合会場 ユアテックスタジアム

2013年 シーズン開幕
「覇を競え。」 ベガルタ仙台を愛する 全ての人たちのために

征くぞ 諸君

~以上~

あー、やっぱり改変が難しい。
開幕戦はゲーフラは作らず。職人さんやセンスのある皆様にお任せします。

ACL仕様の、むしろタイ・ブリーラム戦専用のベガッ太帽子も、いまいちな出来ながら先ほど完成。

今週火曜と土曜。
仙スタで、ユアスタでお会いいたしましょう。

防寒対策だけはマジでしっかりと。
本当にしっかりと。

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2013年2月17日 (日)

日常/距離が近すぎるとねぇ

タイトルで幼馴染の出るギャルゲーを思い出した人はお帰りください。

仮に僕がプロ野球選手だったとして、とあるシーズンに優勝して、その年末に「東京フレンドパーク」に出演した場合、チームメイトが一生懸命走ってる状態で問題を答えるクイズで、関口宏から出題されるであろう問題は、
 「きめん選手は宮城県出身ですが、さて、宮城県内にある温泉地を5つお答えください」
という内容になるであろう。

そうなった場合、僕が間違いなく最初に答えるのは、
 「秋保温泉」
だろう。

うちから車で20分ちょっとで着いてしまう温泉地、秋保温泉。

あまりに近すぎるので、若いころから別に温泉に入りに行くこともなかったのだが、最近あまりにも寒いので、ふと
 「温泉入ったら温まるんじゃね?」
と突然思いつき、親を誘ってとあるホテルの日帰り温泉へ。大浴場に入り放題で大広間の休憩所ありで1日1000円は、まあまあリーズナブル。

しかし、温泉の効能なんてこれまで全然気にしたことなかったけど、温泉出てから2~3時間経っても全身ポカポカ。
普通のお湯と温泉ってこんなにも違うのかと、えらい歳になってから効能を知るのは、ものすごく人生を損した気分だ。

とはいえ、いい温泉だったのでまた来よう。
という話をしたのが先週。

まさか、2週続けて同じ温泉に来ることになるとはな。

母親がえらい気に入ってしまったので、来週は行かなくても済むように気をつけよう。
とはいえ、「3年奇面組」と「ハイスクール奇面組」の配信が決まった直後に、きめんのルーツをたどる意味で、

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「奇面巌」
なるものを見られたのは収穫か。

お久しぶりです、師匠…。

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2013年2月10日 (日)

ラノベ/MHP3rd/新Ki-Men的狩猟生活 第4話 農場で焼いたこんがり肉48zとこんがり魚40z

前回 3-3話
http://kmnparty.way-nifty.com/manga/2013/02/mhp3rdki-men3-3.html

ここはユクモ村に程近い場所にある農場。
村に所属するハンターには基本的に、1人につき1つの農場を与えられる。
村長の方針とは言え、なんとも豪儀なハンター制度である。

Noujou01

Noujou02

ハンターたちはここで「アイルー」と呼ばれる、人語を理解する猫たちに農場を管理してもらい、狩りに必要な素材を集めたり、育ててもらったりしている。
畑を耕したり、鉱石を見つけたり、魚を釣ったり、虫を集めたりなどである。決して「スローライフ」を実践しているわけではない。来るべき戦いに備えた蓄えを行っているのだ。

今日はここで、ささやかながらヲズマス主催のバーベキューパーティーが行われようとしていた。

OP
http://video.mixi.jp/view_video.pl?owner_id=132013&video_id=11363267

 「「いただきまーすっ」」

農場にヲズマス、無限の毒、紅ノ牙、3人の声が響き渡る。
澄み渡った空の下、絶好のバーベキュー日和だった。

 「ご主人様、こんがり肉はまだまだあるニャ」
 「導入したての特注よろず焼き機は絶好調稼動中なのニャ」

農場を管理しているアイルーたちがご機嫌にヲズマスに話しかける。

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 「ありがとう。次の分を焼いたら、あとは自分たちの魚を焼いて休んでていいよ」
 「はいなのニャ」

返事もよく、アイルーたちは去っていく。

 「お二人もたくさん食べてくださいね。辛味ならトウガラシもありますので」
 「すまない。しかしここはいい農場だな。日当たりもよいし眺めも最高だ」
 「割り当てられた順番がよかったのかもしれませんねぇ」

ユクモ村に隣接する農場は、1人のハンターにつき、1つの農場が割り当てられている。
基本的に登録した順番どおりに割り当てられていくが、当然場所が異なるため、欲しい素材がうまく手に入らない場合も多い。
向こうは光蟲がよく集まるのに、こちらはにが虫しかこない。近接武器を持っていないのに、釣りをするとキレアジばかり釣れる、と言った具合である。

また、場合によっては、先に登録したハンターよりも、あとに登録したハンターの農場のほうが、村から近いとか日当たりが良いとかもあるようだが、このあたりはハンターの気の持ちようで違ってくるようだった。
実際には、地道にクエストをこなし、農場を整備していけば、取れる素材にそれほど大きな差は出ないのが実状である。

 「アイルーもずいぶん懐いてるようだし、ハンター家業も順調といったところか」
 「いやぁ、まだそんなことはないですよ」
 「2つ名もずいぶんと知れ渡ってるみたいですしねぇ」
 「それはほんと…勘弁してください」

ヲズマスは苦笑しながら答えた。
「青の薬剤師」と言う、かなり不本意な2つ名をつけられてから、それなりの時間が経過していた。
今ではこの2つ名は広く浸透し、下位クエストを受注するハンターの間では、知らない者はいないと言っても過言ではなかった。

それは逆を解せば、それだけ確実に依頼をこなす腕利きハンターの証明でもあるのだが、それならばもうちょっとかっこいい響きの2つ名を、と思うのは仕方のないことであろう。

ここでふと、ヲズマスが以前から気になっていたことを口にした。

 「そういえば、お二人の2つ名の由来って言うのはなんですか?」

その言葉に、無限の毒と紅ノ牙の動きが止まる。

 「い、いやまあ、それはいまさら別に知らなくても良いことだ、うん」
 「そ、そうですねぇ。結構古い話になりますからぁ」

2人は口ごもる。
だが、自分と比較してあまりにも異なる「言葉の響き」に、ヲズマスは引き下がらない。

 「いやでも、お二人の動きとか見てると他のハンターとも違いますし、過去のすごい経歴から2つ名がついてるような気がして、興味ありますよ」

食い下がるヲズマスに、2人は目を合わせ、観念したかのようにゆっくりと無限の毒が口を開いた。

 「聞いてもあまりたいした由来じゃないぞ」
 「構わないです」
 「では話すが、私の『無限の毒』という2つ名は、私がまだ新人ハンターだった頃につけられた2つ名だ」
 「新人の頃に? やっぱりすごいハンターだったんですね!」
 「そういうわけではないんだ。私の2つ名は『フルフル』というモンスターと対峙したときにつけられた名前だ」
 「フルフル?」

飛竜系竜盤目フルフル。

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洞窟など湿った暗い場所を好み、白い巨体に鋭い嗅覚で相手を押しつぶし、電撃でハンターの体の自由を奪う、恐ろしいモンスターで、その身の毛も凍るような甲高い叫び声も特徴の1つである。

 「資料で見たことはありますが…この辺りにはいないモンスターでは?」
 「私たちはかつて『ポッケ村』にいたことがあるんですよ」
 「あのポッケ村に?」

ポッケ村とは、モンスターとハンターの戦いが繰り広げられる現代において、過去、最も激しい戦いが繰り広げられたと伝えられる、伝説の村である。

噂では、城よりも巨大な竜、塔よりも高い甲殻種、山をも飲み込む生物がいたと伝えられているが、それらがあまりにも理解の範疇を超えた話ばかりのため、もはやハンターの間でも存在を含めて「都市伝説」と言われるほどの村である。

 「ポッケ村は実在したんですね」
 「あぁ。話を戻すが、私はそこでフルフルと戦ったんだが、なんていうかその…新人だったのでな」
 「ボーガンの弾を忘れちゃったんですよぉ」
 「ええぇ?」
 「おい、紅ノ牙。余計なことを言うんじゃない」
 「だって、本当のことじゃないですかぁ」
 「そうなんですか?」
 「まあ…そうだな。村の人たちに大見得を切って出てきた以上、狩りを終える前に村に戻るなんて選択肢はありえない。そこで私は…」
 「はい」
 「支給品の…Lv1の弾だけでな。狩りを終えたんだ」
 「そんなバカな!?」

クエストに向かったハンターのために、ギルドが用意する支給箱。
その中には、ボーガンの弾数が無制限で使用できる『通常弾Lv1』が毎回準備されているが、そのあまりの威力の低さに、使用するガンナーはほぼ存在しない。手に取ることもないだろう。

 「それからだ。私の得意としていた毒化とあわせて『無限の毒』と呼ばれるようになったのは」
 「で、でも、それで狩りを終えたのなら、やはり凄腕のハンターということですよね」
 「どうかしら。あのときの無限の毒は、もう半泣きで、ひたすら高台からボーガンを連射していただけでしたからねぇ」
 「だから余計なことを言うな、紅ノ牙。お前も私と大差ないじゃないか」
 「あ、紅ノ牙さんの由来は何なんですか?」
 「いえいえ、私はいいんですよぉ」

矛先が自分に向いたのに気づき、なんとか話題を変えようとするが、お返しとばかりに無限の毒が続ける。

 「こいつはな、近接武器の中で最も砥石を消費する双剣使いのくせにな」
 「はい」
 「砥石を忘れて狩りにいったんだよ」
 「ええぇ!」
 「しかも、よりによって外殻の硬さには定評のある『グラビモス』の狩りにな」

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 「鎧竜じゃないですか!」
 「支給品の携帯砥石は狩りの早々に使い切ってな。ピッケルが無いため砥石を掘り出すこともできず、双剣がギッザギザの真っ赤な状態になってるのに、泣きながらグラビモスの巨体に向かって乱舞を続けていたらしい」
 「『紅ノ牙』ってそういう由来だったんですか!?」
 「もう、本当に古い話ですので…」

紅ノ牙は、顔を真っ赤にしながら相槌を打っている。

 「2つ名って、そんな風につけられて広がっちゃうもんなんですね」

ヲズマスはしみじみと言った。

 「もういいじゃないか、そんな話は」
 「そうですよ、せっかくのバーベキューですから。楽しまないと」
 「はい、そうですね」

そして、宴は再開される。

途中、アイルーが近接武器の作成に必要な鉱石がたくさん取れたということを言いにきた気がするが、酔っ払ったヲズマスがそのことを思い出すのは、翌日の昼過ぎ、まだ少し酒の残る頭で農場を訪れてからのことになる。

そして農場から遠く離れた南区では、屈強な狼たちが相次いで倒されるという事件が起こっていた。

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http://video.mixi.jp/view_video.pl?owner_id=132013&video_id=11389726


次回、ジンオウガ編突入。

第5-1話
http://kmnparty.way-nifty.com/manga/2013/05/mhp3rdki-men5-1.html

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2013年2月 3日 (日)

ラノベ/MHP3rd/新Ki-Men的狩猟生活 第3-3話 寒さも安心!王者のトサカと眠狗竜の皮300z

前回 3-2話
http://kmnparty.way-nifty.com/manga/2012/10/mhp3rdki-men3-2.html

そして明くる日も、そのまた明くる日も、ヲズマスは猟犬部隊とともに狩りに出かけた。
ある日は水没林、ある日は火山と、場所を変えて狩りに挑み、そのすべてに勝利を収めた。
しかも、あっさりと。
いや、勝利を収めたとは言っても、その狩りは砂原で行われたときと同じく、他のハンターがモンスターを弱めるところを遠くから眺め、弱ったモンスターを最後に仕留めて素材を剥ぎ取るという、猟犬部隊と最初に同行した狩りと変わらないものではあったが。
ヲズマスは、持ち帰った素材を眺めつつ、釈然としないモヤモヤとした感情に襲われていた。

 「キメハラと猟犬部隊? なんでそんな連中と」
 「はぁ。猟犬部隊に入らないかと誘われまして…」

狩りの後、無限の毒と夕食を食べながら、ヲズマスは話を続けた。

 「一緒に狩りに行って、すんなりと素材は持ち帰れたのですが。なんていうか、期待していたほど素材入手の喜びが無くて」
 「なにを手に入れたんだ?」
 「ギギネブラの不気味な皮やおそろしいクチ、ベリオロスの琥珀色の牙や、爆鎚竜の骨髄などですが…」
 「ほう。下位のクエストではかなり貴重な素材だぞ。喜びが無いわけないだろう?」
 「ただ何というか…、違和感が…」
 「違和感?」

ヲズマスは、それまでの狩りとは違う、すんなりと素材を手に入れられることに違和感を感じていた。
これまでにハントした、大型モンスターのアオアシラやドスファンゴ。恐らく、強さではそれらのモンスターを遥かに上回る相手から素材を奪っているというのに感じる違和感。
それが何からくるものか、ヲズマスは分からないでいた。

 「ふっ、そうか…」
 「なんです?」

無限の毒はそれには答えず、残ったスープに口をつけていた。

 「もったいぶらないで教えてくださいよ」
 「そうだな。かつての偉大なハンターが残した言葉にこんなものがある」
 「残した言葉?」
 「狩りは成功も失敗もその途中経過も含めて、全てがそろって”最高の狩り”と成りえるのだと」
 「全てがそろう?」
 「この言葉の意味が分かれば、おのずと答えは出るはずだ」

翌日、ヲズマスは猟犬部隊からの連絡を受け”凍土”にいた。

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”ウルクスス”と呼ばれる巨大なウサギ型モンスターに代表されるように、寒さに耐性のある、表皮の分厚いモンスターが支配する極寒の地である。
人の介入を拒むこの土地に、猟犬部隊とともにヲズマスは足を踏み入れていた。

 「そろそろ返事を聞かせてもらえるんだろうね」

猟犬部隊のリーダー、キメハラはヲズマスに問いかけた。

 「えぇ、今日の狩りで答えを出しますよ」
 「いい返事を期待しているよ」

その日の狩りも、これまでと同様だった。
ターゲットのドスバギィは、狡猾な動きと睡眠弾を吐き出す厄介な竜であったが、ハンターたちは連携の取れた攻撃と罠で、ドスバギィを追い詰めていた。
そして、ヲズマスとキメハラ率いる猟犬部隊は、いつものようにそれを眺めているだけだった。

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しばらく後、ドスバギィはハンターの攻撃に耐えかね、ヨロヨロと逃亡を始めた。
捕獲のチャンス、いや、討伐のチャンスだ。

 「よし、いくよ」

キメハラの号令にあわせて、ドスバギィの潜む氷の洞窟へと移動する。
ヲズマスと猟犬部隊が到着したときには、ドスバギィはすでに夢の中だった。

 「下がっているんだ」

キメハラは、それがさも当然であるように猟犬部隊たちを射程範囲から遠ざけ、ドスバギィに向けて竜撃砲を放った。
絶命するドスバギィ。ハント完了である。

 「さ、素材を持ち帰ろうか」

キメハラはそういいながら猟犬部隊とともに倒れたドスバギィに近づく。しかし、ヲズマスはその様子を真剣なまなざしで見つめたまま、動かなかった。
不思議に思ったキメハラが声をかける。

 「どうしたんだい、剥ぎ取らないのか?」

その言葉に反応し、ようやくヲズマスが動く。そしてキメハラのそばで口を開いた。

 「これが僕の答えです」

言うが早いか、ヲズマスは懐から小さなタルを取り出した。それを剥ぎ取りをしている猟犬部隊の足元に置いていく。
数秒後、剥ぎ取りをしていた猟犬部隊は、爆発音とともに吹き飛ばされていた。

小タル爆弾。

火薬草と小タルを調合することで作成可能な小型の爆弾。威力はさほどではないが、高性能な時限式で、人1人を容易に吹き飛ばす程度の破壊力はある。
猟犬部隊は剥ぎ取りをおこなえないまま、火だるまとなり吹き飛ばされた。

 「な、なんのつもりだ、ヲズマス!」

キメハラがヲズマスに問いかける。

 「これが俺の答えです。つまらないんですよ、こんなの」
 「なに?」
 「素材は自分自身でモンスターを倒してこそ、得られたときの喜びは大きい。たとえ狩りに失敗し、回復薬や罠が無駄になっても、モンスターと戦う過程にこそ意味がある。素材だって、すんなり手に入っても面白くないんですよ」
 「このっ!」
 「知ってますか、キメハラさん。苦労して貴重な素材を手に入れたときって、めちゃくちゃ嬉しいってことを」
 「生意気を!」

キメハラがガンランスの砲撃をヲズマスに見舞う。
しかしヲズマスは、間一髪それを交わす。

 「俺たちは猟犬部隊(ガンドッグ)だ。軍隊として行動すれば、弱者とて強くなり、強力なモンスターを倒し、素材を手に入れることができる!」
 「どれだけ群れても、犬は犬だ!」
 「なんだと?」
 「キメハラさん、あなたと会ったときに俺は違和感を感じた。それが何か分かりますか?」
 「なに?」
 「装備ですよ。確かに高級な防具だ。希少価値も高い。でもね、キズひとつついてない防具なんて店で飾られてるのと同じだ。意味がないんですよ」
 「生意気を!」

倒れたドスバギィを前に、2人のハンターが交差する。
お互いの主義主張を訴えんために。

 「キメハラさん、犬も団体で行動すれば強くなれるって言いましたよね」
 「ああ。それがどうした」
 「だったら、背中に気をつけたほうがいいですよ」
 「なに?」

キメハラが後ろを振り向くと、視界に入ったのは倒れたドスバギィが1体。
しかしその脇に、もう1体ドスバギィの姿があった。しかも、1体目に倒したものよりも遥かに大型のドスバギィが。

 「バカな、2匹目だと!?」
 「素材に気をとられて、ギルドの依頼をよく見てなかったんですね。今回の狩猟は、ドスバギィ2頭の討伐依頼ですよ」

ドスバギィはキメハラの頭から睡眠弾を吐きかける。
直後、強烈な睡魔に襲われるキメハラ。

 「こ、このままでは…」

眠りに誘われるキメハラをドスバギィの強烈な体当たりが襲う。ガンランスとは言え、今のキメハラにこの攻撃をかわす術はなかった。

ガキィッ!

その間に入り込むヲズマス。装備していた盾が2人の身を守った。即座に片手剣の切っ先でキメハラに活を入れ、正気を取り戻させる。

 「どうやら揃ったみたいだ」

ヲズマスの言葉にキメハラが洞窟の入り口に目をやると、先ほどまでもう1体のドスバギィを追い詰めていたハンターたちが、ようやく追いついたところだった。

 「少しは手伝ってくださいね、キメハラさん」

その後、ドスバギィが集結したハンターたちに、逃走する間もなく狩られるまで、そんなに時間はかからなかった。

 「狩りにはリスクが付き物だ。だからこそ、得られたときの喜びは大きい」
 「そうですね。今回、猟犬部隊と行動して、つくづく分かりました」

ヲズマスは、凍土名物のお土産「ウルクススまんじゅう」を食べながら、無限の毒、紅ノ牙と話していた。

 「それで、あいつらと行動したときの素材はどうした。売ったのか?」
 「いやまあ、せっかく手に入れたものなので、それはそれとして持ってますけど…」
 「素材は大事ですからねぇ」
 「ただですね、素材がちょこっと足りないので、今度、お2人に手伝っていただけないかなぁと」
 「断る」
 「断ります」

2人は言い終わるが早いか断った。

 「猟犬部隊にそれだけの啖呵を切ったんだ。もう1人で大丈夫だろう」
 「がんばってくださいね。応援してます」
 「ですよねー」

あんまり偉そうなことは言わないでおこうと、心に誓うヲズマスであった。

エンディング
http://video.mixi.jp/view_video.pl?owner_id=132013&video_id=11389726

~次回~

農場でバーベキュー。

第4話
http://kmnparty.way-nifty.com/manga/2013/02/mhp3rdki-men448.html

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