ラノベ/MHP3rd/新Ki-Men的狩猟生活 第4話 農場で焼いたこんがり肉48zとこんがり魚40z
前回 3-3話
http://kmnparty.way-nifty.com/manga/2013/02/mhp3rdki-men3-3.html
ここはユクモ村に程近い場所にある農場。
村に所属するハンターには基本的に、1人につき1つの農場を与えられる。
村長の方針とは言え、なんとも豪儀なハンター制度である。
ハンターたちはここで「アイルー」と呼ばれる、人語を理解する猫たちに農場を管理してもらい、狩りに必要な素材を集めたり、育ててもらったりしている。
畑を耕したり、鉱石を見つけたり、魚を釣ったり、虫を集めたりなどである。決して「スローライフ」を実践しているわけではない。来るべき戦いに備えた蓄えを行っているのだ。
今日はここで、ささやかながらヲズマス主催のバーベキューパーティーが行われようとしていた。
OP
http://video.mixi.jp/view_video.pl?owner_id=132013&video_id=11363267
「「いただきまーすっ」」
農場にヲズマス、無限の毒、紅ノ牙、3人の声が響き渡る。
澄み渡った空の下、絶好のバーベキュー日和だった。
「ご主人様、こんがり肉はまだまだあるニャ」
「導入したての特注よろず焼き機は絶好調稼動中なのニャ」
農場を管理しているアイルーたちがご機嫌にヲズマスに話しかける。
「ありがとう。次の分を焼いたら、あとは自分たちの魚を焼いて休んでていいよ」
「はいなのニャ」
返事もよく、アイルーたちは去っていく。
「お二人もたくさん食べてくださいね。辛味ならトウガラシもありますので」
「すまない。しかしここはいい農場だな。日当たりもよいし眺めも最高だ」
「割り当てられた順番がよかったのかもしれませんねぇ」
ユクモ村に隣接する農場は、1人のハンターにつき、1つの農場が割り当てられている。
基本的に登録した順番どおりに割り当てられていくが、当然場所が異なるため、欲しい素材がうまく手に入らない場合も多い。
向こうは光蟲がよく集まるのに、こちらはにが虫しかこない。近接武器を持っていないのに、釣りをするとキレアジばかり釣れる、と言った具合である。
また、場合によっては、先に登録したハンターよりも、あとに登録したハンターの農場のほうが、村から近いとか日当たりが良いとかもあるようだが、このあたりはハンターの気の持ちようで違ってくるようだった。
実際には、地道にクエストをこなし、農場を整備していけば、取れる素材にそれほど大きな差は出ないのが実状である。
「アイルーもずいぶん懐いてるようだし、ハンター家業も順調といったところか」
「いやぁ、まだそんなことはないですよ」
「2つ名もずいぶんと知れ渡ってるみたいですしねぇ」
「それはほんと…勘弁してください」
ヲズマスは苦笑しながら答えた。
「青の薬剤師」と言う、かなり不本意な2つ名をつけられてから、それなりの時間が経過していた。
今ではこの2つ名は広く浸透し、下位クエストを受注するハンターの間では、知らない者はいないと言っても過言ではなかった。
それは逆を解せば、それだけ確実に依頼をこなす腕利きハンターの証明でもあるのだが、それならばもうちょっとかっこいい響きの2つ名を、と思うのは仕方のないことであろう。
ここでふと、ヲズマスが以前から気になっていたことを口にした。
「そういえば、お二人の2つ名の由来って言うのはなんですか?」
その言葉に、無限の毒と紅ノ牙の動きが止まる。
「い、いやまあ、それはいまさら別に知らなくても良いことだ、うん」
「そ、そうですねぇ。結構古い話になりますからぁ」
2人は口ごもる。
だが、自分と比較してあまりにも異なる「言葉の響き」に、ヲズマスは引き下がらない。
「いやでも、お二人の動きとか見てると他のハンターとも違いますし、過去のすごい経歴から2つ名がついてるような気がして、興味ありますよ」
食い下がるヲズマスに、2人は目を合わせ、観念したかのようにゆっくりと無限の毒が口を開いた。
「聞いてもあまりたいした由来じゃないぞ」
「構わないです」
「では話すが、私の『無限の毒』という2つ名は、私がまだ新人ハンターだった頃につけられた2つ名だ」
「新人の頃に? やっぱりすごいハンターだったんですね!」
「そういうわけではないんだ。私の2つ名は『フルフル』というモンスターと対峙したときにつけられた名前だ」
「フルフル?」
飛竜系竜盤目フルフル。
洞窟など湿った暗い場所を好み、白い巨体に鋭い嗅覚で相手を押しつぶし、電撃でハンターの体の自由を奪う、恐ろしいモンスターで、その身の毛も凍るような甲高い叫び声も特徴の1つである。
「資料で見たことはありますが…この辺りにはいないモンスターでは?」
「私たちはかつて『ポッケ村』にいたことがあるんですよ」
「あのポッケ村に?」
ポッケ村とは、モンスターとハンターの戦いが繰り広げられる現代において、過去、最も激しい戦いが繰り広げられたと伝えられる、伝説の村である。
噂では、城よりも巨大な竜、塔よりも高い甲殻種、山をも飲み込む生物がいたと伝えられているが、それらがあまりにも理解の範疇を超えた話ばかりのため、もはやハンターの間でも存在を含めて「都市伝説」と言われるほどの村である。
「ポッケ村は実在したんですね」
「あぁ。話を戻すが、私はそこでフルフルと戦ったんだが、なんていうかその…新人だったのでな」
「ボーガンの弾を忘れちゃったんですよぉ」
「ええぇ?」
「おい、紅ノ牙。余計なことを言うんじゃない」
「だって、本当のことじゃないですかぁ」
「そうなんですか?」
「まあ…そうだな。村の人たちに大見得を切って出てきた以上、狩りを終える前に村に戻るなんて選択肢はありえない。そこで私は…」
「はい」
「支給品の…Lv1の弾だけでな。狩りを終えたんだ」
「そんなバカな!?」
クエストに向かったハンターのために、ギルドが用意する支給箱。
その中には、ボーガンの弾数が無制限で使用できる『通常弾Lv1』が毎回準備されているが、そのあまりの威力の低さに、使用するガンナーはほぼ存在しない。手に取ることもないだろう。
「それからだ。私の得意としていた毒化とあわせて『無限の毒』と呼ばれるようになったのは」
「で、でも、それで狩りを終えたのなら、やはり凄腕のハンターということですよね」
「どうかしら。あのときの無限の毒は、もう半泣きで、ひたすら高台からボーガンを連射していただけでしたからねぇ」
「だから余計なことを言うな、紅ノ牙。お前も私と大差ないじゃないか」
「あ、紅ノ牙さんの由来は何なんですか?」
「いえいえ、私はいいんですよぉ」
矛先が自分に向いたのに気づき、なんとか話題を変えようとするが、お返しとばかりに無限の毒が続ける。
「こいつはな、近接武器の中で最も砥石を消費する双剣使いのくせにな」
「はい」
「砥石を忘れて狩りにいったんだよ」
「ええぇ!」
「しかも、よりによって外殻の硬さには定評のある『グラビモス』の狩りにな」
「鎧竜じゃないですか!」
「支給品の携帯砥石は狩りの早々に使い切ってな。ピッケルが無いため砥石を掘り出すこともできず、双剣がギッザギザの真っ赤な状態になってるのに、泣きながらグラビモスの巨体に向かって乱舞を続けていたらしい」
「『紅ノ牙』ってそういう由来だったんですか!?」
「もう、本当に古い話ですので…」
紅ノ牙は、顔を真っ赤にしながら相槌を打っている。
「2つ名って、そんな風につけられて広がっちゃうもんなんですね」
ヲズマスはしみじみと言った。
「もういいじゃないか、そんな話は」
「そうですよ、せっかくのバーベキューですから。楽しまないと」
「はい、そうですね」
そして、宴は再開される。
途中、アイルーが近接武器の作成に必要な鉱石がたくさん取れたということを言いにきた気がするが、酔っ払ったヲズマスがそのことを思い出すのは、翌日の昼過ぎ、まだ少し酒の残る頭で農場を訪れてからのことになる。
そして農場から遠く離れた南区では、屈強な狼たちが相次いで倒されるという事件が起こっていた。
ED
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次回、ジンオウガ編突入。
第5-1話
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