ラノベ/MHP3rd/新Ki-Men的狩猟生活 第5-2話 それは昔子供の頃に近所の空き地で遊んだフワフワモコモコした綿毛の感覚。布団に入れれば軽くて暖か柔らか。雷狼竜の帯電毛490z
前回 5-1話
http://kmnparty.way-nifty.com/manga/2013/05/mhp3rdki-men5-1.html
「ぐあああああっっっ!!!」
ヲズマスの身体が宙を舞う。
予期せず遭遇したジンオウガに対し、あまりにもヲズマスの装備は貧弱であった。
愛用の片手剣こそ帯刀していたものの、手持ちの回復薬はなく、着の身、着のままの姿では、ジンオウガの繰り出す攻撃を受けきれる術はなかった。
アイルー台車に乗せられ、森の中から遠ざかるヲズマス。薄れいく意識の中でヲズマスは、ジンオウガのその巨体がゆっくりと、森の奥へと消えていくのを見つめていた。
OP
「まさか本当に狼だったとはな」
集会所でヲズマスの報告を聞いた無限の毒は、驚きつつも落ち着いた声で答えた。
「対峙したタイミングも悪かったが、遭遇した場所も良くなかったな」
「と言うと?」
「私たちは次に襲われるならこの北区だと想定していたが、孤島は北区のハンターたちが詰めるこの集会所から距離がある。仮にその狼に追撃され、アイルーから緊急の呼び出しがあったとしても、夜明けまでに私たちが駆けつけることは難しかったろう」
「今回は運が良かったと」
ヲズマスは自分がやられたときの状況を思い出していた。
確かにあのままジンオウガの追撃を受けていれば、クエストの達成は困難だったろう。
横で話を聞いていた紅ノ牙が口を開く。
「それにしてもおかしいですねぇ」
「なにだが、紅の?」
「その巨大な狼ですが、話を聞く限り動きも姿も、これまでに確認されているモンスターとはあまりにも異なります」
「異なる?」
「はい。異形と言いますか、あまりにも生物としては不自然のような」
「確かにそれは思ったな。聞いた話を総合すると、あまりにも全身が刺々しいと言うか」
「加えてそのモンスターの攻撃方法です。地上を4つ足で這うにもかかわらず、空中で回転したり、誘導弾を放ったり、これまでに対峙したモンスターには見られない攻撃です」
その毒と紅の会話にヲズマスが口を挟む。
「待ってください。いくら夜半の孤島とはいえ、雷光虫にあれだけ照らされていれば見間違うなんてことはないですよ」
「それもだ」
「なにがです?」
「まるで雷光虫を背中で飼っている、いや、何者かが意図的に雷光虫を集め、その狼に蓄電している様にも思える」
「そんなバカな! 意図的に生み出された生物が何者かに操られているとでも?」
「それはわからん。だが、各地の狼たちをひたすら狩り続け、計画されたように移動する行動が不自然なのは確かだ。あらゆる可能性は想定しておいたほうがいい」
「はぁ…」
無限の毒の話が腑に落ちないヲズマスは、あいまいに返事をした。
会話に区切りがついたところを見計らい、紅ノ牙が口を挟んだ。
「あ、そういえば、その狼の仮の呼び名が決まったそうですよ」
「まあ、”モンスターの狼”と”ハンターの狼”では、いちいちややこしいからな」
「なんて名前になったんです?」
「村長曰く、迅雷の狼で”ジンオウガ”だそうです」
「なるほど、ジンオウガか」
3人がそんな会話をしていたころ、樹海のさらに奥深くで不気味に微笑む黒い陰の姿があった。
「ふふふ、私が完成させた人工生命体ジン・O(オ)は、順調に成果を挙げている。この分なら、ユクモ村の制圧までそう時間はかからないだろう」
誰もまだ、ジンオウガを陰で操る者がいることを知らない。そしてそれを知るまでには、まだしばしの時間が必要であった。
翌日、3人は早朝からジンオウガ討伐のために孤島に渡っていた。
状況から察するに、ジンオウガは内陸の森奥で寝ている可能性が高かったが、3人の必死の調査にも関わらず、何の痕跡を見つけることもできなかった。
そうして夜を迎え、3人は一旦キャンプ地へと戻り、今後の対策を話しあっていた。
肉汁のしたたるこんがり肉をほおばり、スタミナの回復に余念のない3人の耳に、ほぼ同時にモンスターの咆哮が届いた。
「今の声です! 俺が聞いたのは!」
「声の大きさからすると、そんなに遠くはないはずだ」
「急ぎましょう」
3人は装備を整え、孤島の森の奥へと急いだ。咆哮が聞こえた状況から、3人で森奥の中央へ3方向から追い込む形になるように別々に行動する。
ヲズマスは2人と別れた後、雷光虫がある方角へ向けて集まるのを見つけた。ヲズマスは、武者震いを感じつつも、雷光虫を追いかけ走る。
そしてヲズマスは、ジンオウガと2度目の遭遇を迎える。
片手剣しか装備していなかった前回とは違い、全身をフル装備で固めたヲズマスは、ジンオウガに斬りかかる。巧みな前足の攻撃をかわし、突進を避けつつすれ違いざまに斬り付ける。
「いける!」
動きを止めたジンオウガに深く踏み込み、斬り付けようとしたその瞬間、ジンオウガの全身が激しく光り輝いた。
大放電。
雷光虫より溜め込んだ電気を全身から一気に放出し、周囲にいる全てを感電させるジンオウガの奥義である。
勢いよく斬り込んだのが仇となり、回避距離を取る事が出来なかったヲズマスは、全身に激しい雷撃を受け、弾き飛ばされる。
ダウンするヲズマス。そこにジンオウガが追撃を仕掛けてくる。
「くっ!」
盾でガードし身を固める。
しかし、数瞬後もジンオウガからの攻撃はこなかった。
ヲズマスが薄っすらと目を開けると、目の前には弓を持ち、怯むことなくジンオウガと対峙しているハンターの姿が映った。
「あ、あなたはマッタロウ教官!」
そこにはかつてユクモ村に来る前、自分がハンターとして教えを受けた教官の姿があった。
「教官、どうしてここに?」
驚きたずねるヲズマスに、教官と呼ばれるハンター・マッタロウは諭すように答えた。
「ヲズマスよ、ハンターの国へ帰れ」
「!?」
~続く~
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