つたない日記を細々と続けているが、サッカーの日記を書く際は、基本的にスタジアムで見て感じた印象でテーマと内容を決めている。
ただ、この日の試合は異なり、試合前からある程度のテーマが決まっていた。
当初のテーマは「泣いて馬謖を斬る」だった。
かつてJ2で覇権を争い共にJ1昇格したセレッソ大阪。震災の後にセレッソはACLの敵地で仙台の旗を掲げ、その年の天皇杯ではベスト8で敗れた。
いつもいつも難しい試合になるJ1在籍期間が短い仙台にとっては珍しいまさに好敵手。
その好敵手が今まさにJ2降格の危機に瀕している。仙台とともに。
それであれば一切の情けをかけず、一刀のもとに切り伏せ、J2に降格させてあげるとともに勝ち点3を手にするのが仙台にとってベスト。
そう思って(意味は微妙に違うのだが)試合を見ていて、前半で2-0になったあたりまではそう思っていた。
しかしテーマは変わる。次のテーマは「ブック」だった。
ブックとはプロレスの隠語で「シナリオ」のこと。
プロレスには結末が決まっててその通り試合運ぶんだよね、としたり顔でいう人がいるが、いまだかつてこのブックの存在を証明した人はいない。
証明するにはそれこそ「悪魔の証明」が必要になるが、そんなものは存在しない。ただ隠語としては存在する。
2-0とリードした仙台だが、前半途中から状況が変わる。
とにかくボールが保持できない。たまに持ってもパスしたら相手選手の足元へ。自軍からボールを蹴りだして、相手に渡して自軍に戻ってくる。
何がしたいのかわからない。
GKも味方選手が誰もいない所にボールを蹴る。相手ボールになり反撃を受ける。もうわざとやってるのではないか。失点するために相手にパスしてるんではないか。そう思ったほどだ。
実はこの試合はブックで結末が決まっていて、この両チームの残留はJリーグから保証されてるから引き分けでいい。
そんな密約があるのではないかと疑うほどだった。会場目線ではね。
結局後半途中で2-2の同点に。2点のリードは振出しに戻る。
次のテーマは「仙台劇場」だった。または「マモノ」。
かつて「仙台スタジアムには魔物が住む」と恐れられた時代があった。
後半終盤、はたまたロスタイム、劇的な同点弾、勝ち越し弾、逆転弾がゴールネットを揺らしてきた。
この日はまさにそれだった。
後半43分、助っ人と呼んで良いかは微妙な外国人ハモン・ロペスのミドルシュートがネットに突き刺さる。
3-2で仙台勝ち越し。残り2分とロスタイム。勝てば残留に大きく前進できると誰もが思っていた。
この時は。
さらにテーマは変わって「繰り返す」。
とにかく今年は守れない。終盤守れない。
どうやっても勝ちしかありえないこの展開で仙台はやらかす。セレッソのこちらも外国人カカウに
「タイガーショットは守備の一点の穴さえ見えればゴールは奪えるんだ」
と言わんばかりの同点ゴールを48分に決められる。
この日のロスタイムは4分。あと1分守り切れていれば。
とにかく仙台は繰り返す。
柏戦は後半45分+2に決められ、マリノス戦は後半45分+3に決められ、いずれも引き分けを逃して敗戦。
さっぱり守備の修正が取れないまま来てしまった。監督はCB出身のはずなのだが。
まあ、チャリティマッチで相手通訳に、自身の背後をとられて決勝ゴールを与えてしまっているので、守備の修正には課題があるのかもしれな。
そして最後のテーマは「4-3の歴史」。
仙台とセレッソの対戦は基本良いところの潰しあいでたいへん渋い試合になることが多い。
その反面、なぜか4-3のバカ試合も結構あったりする。
この日は同点にされた後、さらに仙台が勝ち越しのチャンス。ここで決まれば4-3の決着に新たな1ページが。
そして突き刺さる勝ち越しゴール。しかしオフサイド。
幻と終った。
この日甲府が勝ったので抜け出し、J2降格はすでに決まっている徳島以外に、仙台、清水、大宮、セレッソの4チームに絞られた。
このうち2チームがJ2に落ちることが確定。確率なら1/2。らんまか中森明菜か。
この週末は、J1優勝争いやら、J2のプレーオフ争いやらは結構どこのチームも大変なことがあったらしい。
面白いねぇ、Jリーグ。
仙台が残ってくれれば、もっと面白いのだがさて。
試合前のトークショー。北澤と財前の謎の組み合わせ。
夕暮れのユアスタに飛行機雲
「絶対残留」はフラグのはずだったんだがこの日は覆す
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