
「愛して その人を得ることは最上である…
愛して その人を失うことは その次によい」
(ウィリアム・M・サッカレー 19世紀英国作家)
※ と言うか「ジョジョの奇妙な冒険 第1部 怒りをたたきこめ!」の回より。
ダブルアンコールで登場した、劇場版最後のシーンを模した花のステージと衣装に身を包み、「僕たちはひとつの光」を歌う9人をアリーナ席から見上げながら、
「もうこの9人がそろって歌うのを生で見ることは一生無いのだろうな」
と思うと、コールをしながら自然と、この日何度目か分からない涙を流した。
大好きな作品が盛り上がるのは幸せであり、その作品の明確な最後に立ち会えるのもまた幸せなことと思うのです。


雑誌企画から始まった「ラブライブ!」のアニメ劇中スクールアイドルユニット「μ's」を演じておられた声優の皆さん9人によるμ'sのファイナルライブ、
「ラブライブ!μ's Final LoveLive! ~μ'sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪~」
の東京ドーム2days3.31初日に参加してまいりました。
ラブライブは2010年に雑誌「電撃G'sマガジン」の企画からスタート(雑誌の前身は「電撃PCエンジン」)し、アニメは13年1月に1期がスタート、14年4月に2期が放送、15年6月の劇場版をもって、作中でのストーリーは完結しています。
と言うのも、μ'sは1年生、2年生、3年生からそれぞれ3人ずつ、計9人でユニットを結成しているが、3年生の卒業と同時にμ'sとしての活動を終了することを作中で明言しているからです。
アニメが完結しているのであれば、どれだけ人気があり、楽曲が売れていたとしても、あとは何もせず緩やかに、静かに、なんとなーく徐々に話題に上がらなくなり、終了となるのが一般的なアニメ作品の終焉。
しかしながら、ラブライブを支えたμ'sについては、そういうわけにはいかない。
アニメやPVとほぼ同じ衣装と振付で、声優さんたちが歌い踊るライブを観てハマった人たちが多く、そういう人たちにとっては、どうしてもお別れの場が必要だった。
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何故なら声優さんにとってμ'sは本業じゃないから。
もちろん、6年も苦楽を共にした大切なお仕事ではあるのだが、あくまで企画であり、数あるお仕事のうちの一つだから、バンドやアイドルグループのように、解散して数年後、十数年後に復活、再結成と言うことがないから。
あくまで「単独ライブ」がファイナルであり、解散ではない。
しかしながら、9人がまた再結集し、ライブで歌い踊る。その可能性は限りなく低いことをみんなが理解している。
ただ、頭では理解していても、感情で理解することは難しい。
だからどうしても、みんなの想いを伝える場が必要だったのだ。
ただ、前述の「僕たちはひとつの光」で「さよならは言わない」と歌われているように、伝えたいのは「さよなら」ではなく「ありがとう」の言葉。
いまや100曲を超えるμ'sの楽曲で、ライブで披露したことのあるほぼすべての曲に振付がある。アニメやPVになっていないのも含めてだ。
いくらお客さんを楽しませるためとは言え、語り切れないほどの苦労と困難があったであろうことは想像に難くない。
その披露した踊りの中には、ライブで1度しかやっていない曲もある。
今回のファイナルも、5時間ほどのライブの後半は、劇場版の楽曲と衣装を中心に構成されていた。
この2日間が終われば次はないのだ。下手をすると、一生その歌を歌うことも踊ることも無いかもしれない。
それなのに、入念な準備の末、そのたった1度のために「Angelic Angel」を、「SUNNY DAY SONG」を、「僕たちはひとつの光」を、ファイナルシングルの「MOMENT RING」を仕上げてきてくれた。
そりゃあ、どの曲もコールしながら泣くでしょう。
声優さん達が次回歌うことが無いかもしれないように、僕らも次のライブに向けてサイリウムやコールの準備をすることも、もう無いかもしれないんだから。
ところで、前述の「僕たちはひとつの光」の最後で、劇場版の衣装からオリジナルの衣装へと早変わりをした場面。

この日、事あるごとに「9人」ではなく、自分たちの演じている役と合わせて「18人」でのステージと声優さん達は言っていたが、役を演じるのではなくその役になり切り、恐らくはずっと2人組で、18人で歌っていた。
そして、衣装早変わりのあの刹那の時間、作中のμ'sのみんなが現界し、衣装替えと同時に消えていったような気がした。
ミューズはギリシャ神話の9人の歌の女神たち。
神事が終われば、神は天に帰るのが定め。
「Snow halation」と言う、サイリウムによる光の革命を起こした女神たちは、光臨の儀式を終え、心穏やかに人間界を去るのみである。

でも神様は気まぐれだから、信仰心さえ持ち続けていれば、そのうちひょっこり顔くらいは出してくれるかもしれない。
「僕たちはひとつの光」の中で、
「また会おう 呼んでくれるかい」
って歌っているように。
「MOMENT RING」の中で、
「これからはもっとよろしくね」
とも歌っているからね。
忘れさえしなければ、もしかしたら、ね。
最後まで全力で駆け抜け、6年間を悔いなくやり遂げた声優さんたち。
素敵なライブを、感動的なフィナーレを、心の底からありがとう。
自分の大好きな作品が盛り上がるのはとても幸せなことであり、その作品の明確な最後に立ち会えるのもまた幸せなことと、2週間経って改めて思うのでした。
見つかったよ、答え。

参考:
「ラブライブ!」東京ドームのμ’sファイナルライブで見た“18人の集大成”
http://japan.cnet.com/sp/cnet_antenna/35080929/
「ラブライブ!μ's Final LoveLive!」6年の活動の集大成となった「μ's」東京ドーム公演2日めをレポート
http://www.4gamer.net/games/185/G018557/20160405033/
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